実力発揮iPhone OS 3.0

3/17iPhone OS 3.0の発表があった。Podcastで一通り目を通したので忙しい人のためにここに内容を書いておく。詳しくは公開されている動画で確認してもらいたい。
さてこれまでのiPhone 3Gの販売であるが、2008年は1000万台の目標に対して1370万台販売したらしい。

これはiPhoneだけの数なので、iPod Touchとあわせると3000万台。

iPhoneアプリの開発者の実に62%は元々Macの開発者ではなかった人であるという。つまり、iPhone 3Gがリリースされたことで、Appleのプラットフォームで開発をする人が増えたということになる。

App Storeでダウンロード可能なアプリケーションは25000。

アプリケーションのダウンロードはこれまでに8億件。

さて、今回のiPhone OS 3.0の新機能であるが、100の機能と1000のAPIが追加されたらしい。

それぞれの機能を見ていくことにする。
一番最初に紹介されたのが課金のモデルである。AppleがいかにiPhoneアプリの開発者を重要に考えているかがわかる。上記アプリケーションの数やダウンロード数が実現されたのは開発者が様々なアイデアを具現化したからである。もちろんカンファレンスの対象が開発者である為開発者に対してのリップサービスもあるのだと思うが、最初に紹介された機能は開発者がどうやって儲けるかである。iPhone OS 3.0で追加された課金モデルは"In App Purchase"である。

アプリケーションの起動中に追加のコンテンツや機能などに課金することができるAPIを3.0では実装しているという。想定しているのは、1)日本でよくある月額の課金モデルを可能にすること、2)電子書籍など追加のコンテンツの販売を可能にすること、3)ゲームなどで追加の機能やレベルに対して課金が出来るようにする事である。
2つ目はiPhone同士のP2Pのコミュニケーションである。ゲームソフトをかなり意識しているようだが、ゲーム機としては、PSPやDSは何年も前からやっているので珍しくはない。iPhoneでは他のアブリで使えるというのが魅力的だ。

3つ目はアクセサリとの連携機能だ。ハードウェアをコントロールするAPIが追加される。従ってアクセサリとアプリがペアで出荷させることが多くなるのだろう。

さて次の新機能はGoogle Mapである。勿論、これまでもGoogle Mapを使えたがMapアブリが立ち上がって終わりである。3.0からは個別のアブリにGoogle Mapを埋め込むことが出来る。従ってアプリさえしっかりとサポートしていればアブリとMapを行ったり来たりする必要が無くなるはずである。

そして最後はやはりPush Notificationである。昨年のWWDCで9月にリリースすると行っていた機能だ。Push Notificationは大変評判が良かったために、充分なスケーラビリティを確保する為Rearchitectしたらしい。Push Notification ServiceはアプリケーションがInactの状態でもサーバからメッセージを送ることが出来る機能である。メッセージは3種類で、1)メールのようにアイコンの上に数字を出す、2)音を送る、そして3)インスタントメッセージのようにテキストを送るである。

Push Notificationには様々な噂があった。その一つはバックグランドでの実行を可能にするのではという噂だ。今回その件は完全に否定された。理由はバッテリーとフォアグランドのアプリのパフォーマンスに影響を与えるからだ。おそらくRearchitectの段階であらゆる選択肢を検討し、その結果バックグランド実行を止めたのではないかと推測する。


さてここまでは、開発者に影響を与える機能を中心に見てきた。ここからは利用者が直接使用する機能だ。

勿論、一番注目されているのはCut&Pasteである。少しオペレーションは複雑になるかもしれないが、重複して入力する必要が無くなる為、生産性は上がるだろう。また、カメラロールの画像もCut&Pasteでメールに張り付ける事ができるようになる。複数の画像を一度にCut&Pasteして複数の写真をメールする事も可能になる。ちなみにUndoはiPhoneを振って加速度センサーを使ったオペレーションとなる。Appleらしい遊び心も忘れてはいない。

2つ目はLandscapeである。現在標準のアプリのほとんどはLandscapeをサポートしていない。3.0では、メール、メモ帳などほとんどのアプリでサポートされるらしい。したがってQWERTYキーボードを両手で操作する事が可能になる。日本語キーボードに慣れた人にはあまり意味のない機能かもしれない。

その他ボイスメモ、カレンダーのCalDAV対応、WifiのAuto Logon、Stereo BluetoothなどAppleによれば100の機能を追加したようだ。

そして最後はSpotlightである。全てのコンテンツに対して串刺しの検索が可能となる。

iPhone OS 3.0は新しいハードと共に夏にリリースされる。勿論既存のiPhoneユーザは無料でバーションアップ可能である。iPod Touchユーザは例のごとく10ドル程度でのバーションアップとなる。現在ソフトバンクiPhoneのキャンペーンを行っているが、影響がでるのはハードウェアということになる。今回のカンファレンスではハードウェアのスペックに対する言及はなかった。したがって新しいハードウェアでしか可能とならない機能などは未だ不明である。iPhoneを今買う方がお得かそれとも夏まで待って買う方がお得か?悩みどころである。